准教授 高野先生のこと
どうも、秋ちゃん的には寛行さんはSで私がMというのは確定らしい……。
「たぶんさ、高野サンはシオリンに頼られたりねだられたりしたいのよ。
それが彼の喜びなんだろうからさ。
あんたはべったり甘えてあげたらいんでない?
いっつも誘われてばっかで悪いと思うなら、試しにあんたがおねだりしてみれば?」
スイートポテトを完食した秋ちゃんは満足そうな顔をして、さらさらっとそう言った。
けど、おねだりするなんて……。
そんなこと……。
「簡単に言うけどさ、具体的にはどうしたらいいの?」
「あぁ?具体的には、そうさのぅ……。
抱きついて上目遣いでうるうる見つめて――
“お願い……して♪”
とか言ってみりゃあいんじゃない?
ま、あたしは絶対有り得ないけどね」
「そんな無責任なぁ」
「だってウチは誘うって感じじゃないし。
私は命令権を有していて、夏川には決定権も拒否権もないだけだから」
「秋ちゃんとこって……」
そう言われてしまうと、もう黙るしかなく二の句がつげない。
「あっ、そろそろ戻らなきゃ。夕飯食べちゃわないと配膳車に置いてかれちゃう」
「えっ、そんな時間???」
秋ちゃんと話していると、いつだってあっという間に時間がすぎていく。