准教授 高野先生のこと

ちょこーっと寛行さんを驚かせちゃおっかなぁ♪なんて。

ただそれだけのつもりだったのに……。

気づけば何故か、その獲物?の寛行さんに逆にひどくやりこめられている。

もっとも、寛行さんにすれば計画的に私を陥れようとしたわけではない。

意図しない偶然、ある意味不可抗力とも言えるだろう。

けど、それにしたってこれはもう……どう考えても“返り討ち”だ。

だって――

さっき、寛行さんの研究室で目が合ったとき。

水原先生のかげにそーっと隠れるように立つ私の姿を認めたとき。

彼は瞬時にすべてを把握したに違いないのだから。

私の浅はかな企ても、水原先生と一緒にいるに至った経緯も。

したがって――

これは仕返し……いや、おいたをしようとした私へのお仕置きなのである。


何の因果か、こんな状況に陥ってしまうとは……。

礼拝が始まる前から真剣にしょーもないことを神様に祈る。

“どうか今日の礼拝はちょっと急ぎ目で、できれば早送りでお願いします”

あぁ、神様どうかアホな子羊に憐れみを……。





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