准教授 高野先生のこと
18.いつも一緒に
12月23日の祝日。
寛行さんと私はY大病院へ出かけた。
もちろん、無事に出産をおえた秋ちゃんに面会するために。
病院の入り口で真中君と合流し、3人一緒に秋ちゃんの病室へと向かった。
病室には、週末の休みと有休(正確には特別休暇らしい)をフルに使って、
札幌から飛んでやってきた、新米パパの夏川伸也氏がいらっしゃった。
「みなさんお忙しいのに、わざわざ真樹の為に有難うございます」
初めて見る生の?夏川さんは、写真で見たとおりの隙のないモテ顔の超美男。
真中君が言っていた通りのクールでスマートな切れ者のイメージまんまだった。
だけど――
「君が鈴木サンだね?いつも真樹のことを気にかけてくれてどうも有難う」
「いえ、そんな、私のほうこそ……」
そういうあなたはドMの夏川さんですね?なんて、心の中で聞き返す。
どうもにもこうにも……。
夏川さんの見た目がいくらカッコよくても?
立ち居振る舞いや言動が、スマートで素敵な感じでも?
私の関心は、ただ一点に戻ってしまう……。
イケメン大学教員の、ドM。
華々しい業績で若手のホープの、ドM。
新米パパの、ドM。
内実と外見の衝撃的なギャップ。
私はそれを“へぇー、はぁー、ほぉー”と観光客のようにぽかんと眺めた。