准教授 高野先生のこと
これ以上長居するのは先生の邪魔になるに決まってる。
そんなこと、頭ではわかってた。
嫌われるのも疎まれるも絶対に嫌だし。
なのに……。
だけど……。
やっぱりもう少しあと少しだけ、先生と一緒にいたかった。
「先生、そのお仕事って……」
「え?」
「私がお手伝いすること、できませんか?」
自分でもむりむりで、かなり強引な申し出だってわかってた。
でも、そう言わずにはいられなくて。
やや驚いて、それから何か思案してる様子の高野先生。
そうして、そんな先生と――
「鈴木さん」
ゆっくり静かに目が合った。
「頼まれてくれますか?」
「はいっ」
空っぽになる寸前だった心は、みるみるうちに満タンになった。