准教授 高野先生のこと

しかし――

「詩織さんは、どういう感じの人がタイプなんですか?」

こんな簡単なことが何故予測できなかったのだろう。

あんな質問をすれば、こんな風に聞き返されるに決まっているのに。


「タイプなんて無いって答えは禁止です」

前もって釘をさされた。

「秘密って答えも禁止です」

さらに釘をさされた。


“目の前にいる人です”なんて答えも禁止ですか?


思い切って聞いてみたい。

だけど――

そんな衝動にかられてみても、すぐに悲しく悟ってしまう。

言ったところで、あっさりと一笑に付されてしまうことを。


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