准教授 高野先生のこと
どうせなら……大胆に言ってみてもいいと思った。
「タイプですよ、高野先生は」
「おやおや、それはまた」
私の大胆発言なんて、高野先生には痛くも痒くも無いのだから。
「こう言ってはなんですが私はモテる男の人が苦手なんです」
「本当は怒ってたんですね……」
それは大きな勘違い。
怒っているのはそこじゃない。
先生はヨックモックの缶を開けて私にすすめた。
「機嫌、なおしてください」
まるで私が拗ねた子どもみたい。
だけど――
「水に流してあげます」
私は思慮深い大人として、子供のふりをして許してあげたのだった。