新女類
最近、美花さんはかなりストレスがたまっています。
八つ当たりされている僕としては、早くこの状況を何とかしてあげたいのですが、人間関係はどうすることもできないんですよね。
4月からうちの企画営業部に新しい部長がやってきました。
なぜか美花さんを目の敵にしています。
僕と美花さんは意外と思われるかも知れませんがかなり一流の会社に勤めています(あ、美花さんは意外ではありません、念のため、そういうところ後でうるさいですから…いてっ!ぶたれたので実況してみました)
美花さんの時代はバブル景気が終わる頃でしたから、かなり学生時代は良い思いをしたらしいです。
その頃のボーイフレンド達は、高級車に乗っていたらしく、蟹が食べたいって言ったら北海道に日帰りで連れて行ってくれたり…僕には想像のつかないデートもあったそうです。
短大出身者は就職組としては最後のバブル世代みたいで、とにかく会社は選びたい放題だったそうです。
でも、美花さんは国立の四大を出てますから、バブルがはじけてからの就職だったみたいで、それでもこの四菱物産(仮名)に入社できたのですから…かなり優秀な人だったみたいです。
美花さんは企画営業部に配属されてから、一度もこの部から異動したことがありません。
そして、この企画営業部での武勇伝はいまだに伝説となるほどのものでして、中にはかなりデフォルメしているものもあるようですが…企画課の華と言われた美花さんも今ではアラフォーです。
そんな事もあったわねぇ、で話は終わってしまいます。
僕も、美花さんと同じ時代を生きていたら、僕は美花さんを好きになっていただろうか?
好きというより、振り回されて終わっていただろう、あ、今も同じですけどね。
毎日、美花さんには振り回されていますよ。
でも、僕は美花さんの別の部分が好きなんです。
女を捨てて、仕事に生きようとするのに、女を捨て切れないでいる可愛い美花さんは多分、僕だけしか知らないはずなんです。
美花さんは現在、企画営業部の企画課課長として、僕の上司として働いています。
僕と美花さんが付き合っていることは、この課では誰でも知っている事です。
僕が、しゃべっちゃったんですけどね。
それは不可抗力だったんです。
でも、その結果、会社でも二人でいられるのだから、僕は幸せなんです。


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