新女類
そんな北条さんの代わりを僕が?さらに驚いた方いますよね?
ごもっともです。
僕が一番驚きました。
その後の話ですが、北条さんはその実績が評価されてアメリカの支社へ栄転となり、代わりにきた課長は当然といえば当然ですがごく普通の課長だったらしいのです。
もちろん管理能力や今までの実績は凄いものだったそうですよ。
でも、美花さんにとっては納得のいかない課長だったようで、「使える人間をよこせ」と社長に直下談判したそうです。
これはもちろん伝説というか武勇伝の一つでして、本当かどうかは定かではないのですが、5年も美花さんの下で働いていると嘘ではないって感じです。
でも、その使える人間で何故僕が?って思った方いますよね?
ごもっともです。
僕はSE志望だったので、IT系の部署に配属される予定だったみたいです。
ですが、美花さんの一言で企画課に配属変更が研修中に決まったのです。
先輩達の人事はすでに終わっていて、動かせる人物は新人しかいなかったんですね。
さらに、その新人の中で特技にイラストレーターだのグラフィックデザインだの書いていたのは僕だけだったみたいです。
しかし、新人の人事とはいえ動かしてしまえるほどに、あの頃の美花さんは恐ろしい、いえ、凄い人だったんです。
ある意味、僕の人生を変えてしまった人ですからね。
次の日から企画案のお願いの他に、美花に選ばれた新人の僕を見にくる野次馬が増えて、しばらく企画課は仕事どころではありませんでした。
そして、配属された次の日の大騒ぎで僕は初めて自分の配属がどういうものだったのかを知り、震え上がったのでした。
緊張と、好奇の視線そして恐ろしい視線(これは美花さんの視線です)、目から火花が・・・これは今、美花さんに殴られたからです・・・が集まって震えながらの配属初日となりました。
緊張のあまり、声が震えそして美花さんの迷惑そうな顔だけは覚えています。
この人の下で僕はどれくらい持つのだろう、そんな不安が声になって僕は叫んでいました。
「か、河井真悟です。よ、よろしくお願いします」


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