新女類

出逢い

「か、河井真悟です。よ、よろしくお願いします」
「あの、そんな大声じゃなくても聞こえますから、山本美花です。よろしくね」
そんな会話から始まって、私は彼の教育係にさせられた。
とにかくどこに行くのも一緒で、別々なのはトイレと帰る場所だけって感じ。
拓人とだって、そんなに一緒にいなかった気がする。
まあ、やる気だけはあるのよね。
目がキラキラしちゃってさ、忘れていた何かを思い出させるというか感じさせる子っていうのかな…、私も新人の頃はこんなだったかなって思わせる子なの。
よく見ると鼻筋が通っていて、かわいい顔なの。
私の好みの顔ではないからね、香織はわかると思うけど拓人が一番私の理想に近かったかな。
拓人と電話やメールのやり取りはしてるから、まだ寂しいって感じはしないの。
それに、今は結婚の時期じゃないって思ってるから、香織が「好きなら追いかけなさい」って言ってくれたけど、仕事を捨てる気にはなれなかった。
2年たったら戻ってくるんだし、その時にもしもお互いの気持ちが合うならば結婚を考えても良いんじゃないかなって思うの。
あ、だからと言って待つだけの女にはならないからね、拓人だって向こうで恋愛の一つや二つするだろうし、私も今はフリーという立場で独身ライフを大いに楽しもうと思ってます。
やっぱり女は30歳からよね、仕事も恋も一番楽しい時期だって感じるわ。
あ…でも…もう30も半分きてるか……いや、気にしない。





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