Cold Phantom [前編]
普段は5時起きだったせいか今日は朝から急ピッチだった。
実際にはちょっと急げば間に合うのだけど、その場合…
「今日は食堂かなぁ…」
と言う事になる。
それに、40分を少し過ぎた辺りでピンポーンとホーンが鳴る。
いつものみーちゃんのお出迎えだった。
制服も着替えたし最低限のエチケットは済ませた。
ここまで僅か10分。
私的には最速記録だった。
後は朝ごはんといきたいところ何だけど…とりあえずオーブンで焼いたトーストに手を伸ばし軽くバターを塗るくらいしか時間はなかった。
後は歩きながら食べる位が妥当だろう。
何だか古い漫画みたいな展開だけど形振り構っていられなかった。

「おはよう祥子、って…朝から急いでた雰囲気でいっぱいね。」
「やっぱり、解っちゃう?」
「まぁ、トーストを持って登校しようなんて普通は考えないよね。それと…。」
そう言ってみーちゃんは櫛を取り出して私の髪をといた。
「ここだけ髪が跳ねてるよ。」
「えっ、うそっ!?」
「嘘なんて言わないよ。にしても珍しいね、朝から髪のセットも忘れるくらい慌ててるなんて。寝坊?」
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