Cold Phantom [前編]
「んで、勝算はあるのか?」
里村から必ず返ってくるだろうと思っていた返答がやけに呆気なく返ってきた。
無理だろ?
と言われるよりは幾分かマシな返答だが、胸の痛い言葉なのには変わらない。
里村は俺達の卓上に広げた勉強道具をチラチラ見たあと…
「聞くだけ愚問…だったか。」
と辛い返答が返ってくる。
「お前、案外毒舌だな。」
「回りくどく言うよりはマシかなと思ったんだが…」
どっちもどっちな気がしたが取りあえず言わない様にした。
「バカばかりで集まっても勉強と言う物は出来ないって事を今教訓として心に刻んでる所だよ。」
そう言ったのはたけだった。全く持ってその通りだ。それこそ反論する余地などない完璧なセリフだ。…と情けない事を思ってしまった。しかしその直後だった。里村から思わぬ言葉がとびだしたのは…
「んじゃ、俺が卒業までの間勉強手伝ってやろうか?」
「えっ?」
「んっ?」
俺達は思ってもみなかった返事に同じような反応しか返せなかった。
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