Cold Phantom [前編]
でも…私はそんなヒロ君の姿を見て解った。
ヒロ君を教えるんじゃなく、ヒロ君に助けてもらい、そして私も僭越ながらそんなヒロ君の力になれば良い。
練習以外の事に私がヒロ君に出来うる事をする。
私には今、それが必要だと思う。
それに…
「先輩、教えて下さいよ。ヒロの説明が下手過ぎて全然理解出来ないんですよ。」
「ちょっ、俺の説明が理解出来ないのは犬塚が物覚え悪いからだろ。」
「はぁ?何言っちゃってくれやがりますかこの人は?」
「まぁまぁ、それはどっちも悪くないって事だよ。ヒロ君は教えられる立場だからどんどん犬塚さんに教えてあげて。私も色々教えてあげるからゆっくり考えて練習しよう。」
それに、私はトランペットのパートリーダー。
こんな時こそしっかりしないといけないな…と心中に語りかけた。
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