Cold Phantom [前編]
その道を歩いていてふと思い出した事があった。
少しだけ家路を離れ、寄り道をすると昨日行ったばかりの先輩の家の前を通れる道がある。
本当に1つ角を曲がれば直ぐに着くような場所だったりするのだが、何故かそれを思うと少しだけ気になってしまった。
普段なら素通りで通ってしまう様な狭い道だし、場所が解っていても通るつもりもなかったが、やはりそこは知り合いのいるアパート。道は通りすぎてもその角を見てしまう。
人間の性と言うやつだ。
そして、何もなかったかの様に通り過ぎる…つもりだったが…
「あれ?」
俺はまた足を止めた。
俺のいる数十メートル先に傘を持って佇む先輩と、ワンボックスカーが見えたからだ。
車のライトが先輩の姿を逆光で映していた。
小さなその影は小さく頭を下げると、車もゆっくりと俺のいる方向とは逆の方に走って行ってしまった。
その時、偶然見えたワンボックスカーに書かれていた文字が見えた。
槍倉記念病院と書かれたワンボックスカーが少しずつ姿を小さくしていった。
それが見えなくなるまで見送るつもりなのか、先輩はその場に立ち尽くしていた。
少しだけ家路を離れ、寄り道をすると昨日行ったばかりの先輩の家の前を通れる道がある。
本当に1つ角を曲がれば直ぐに着くような場所だったりするのだが、何故かそれを思うと少しだけ気になってしまった。
普段なら素通りで通ってしまう様な狭い道だし、場所が解っていても通るつもりもなかったが、やはりそこは知り合いのいるアパート。道は通りすぎてもその角を見てしまう。
人間の性と言うやつだ。
そして、何もなかったかの様に通り過ぎる…つもりだったが…
「あれ?」
俺はまた足を止めた。
俺のいる数十メートル先に傘を持って佇む先輩と、ワンボックスカーが見えたからだ。
車のライトが先輩の姿を逆光で映していた。
小さなその影は小さく頭を下げると、車もゆっくりと俺のいる方向とは逆の方に走って行ってしまった。
その時、偶然見えたワンボックスカーに書かれていた文字が見えた。
槍倉記念病院と書かれたワンボックスカーが少しずつ姿を小さくしていった。
それが見えなくなるまで見送るつもりなのか、先輩はその場に立ち尽くしていた。