Cold Phantom [前編]
長池先生はその話を苦い顔で聞いていた。
先生は少し間を置いて話始めた。
「見つからなかったんだよ。君の親が…。」
「見つから、なかった…?」
私はその一言に一瞬時間が止まった。
見つからなかった、なんて事があるのだろうか、混乱する私を前に先生は話を続けた。
「この2ヶ月の間、その姫納さんと言う名前の人を探したんだ。最初はこの地域から、でも、ここら辺で姫納って名前の人が居なくて全国規模に切り替えたんだ。顔写真付きで全国の姫納さんの家を歩き回ってくれたようなんだけど…」
「そんな…」
私はその先生の言葉に気が狂いそうになった。
そんな事があるわけがない。
今こうして生きているなら戸籍等の情報さえあればすぐに私の住んでいた家も家族も解る筈なのに…
私がそう先生に言ったのだが、返事は驚くべき物だった。
「最初から言って聞かせたつもりだけど、本当に君に対する情報がが少ないんだ。」
「だから、それを…」
「君の戸籍が、見つからないんだ。」
「…えっ?」
先生はそう言った。
頭が真っ白になった私に先生は更に続けた。
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