Cold Phantom [前編]
先輩の家を出たのは9時頃を少し過ぎた時間だった。
「いつも一人暮らしで暇だからまた遊びに来てね。」
と、他人が聞いたら間違いなく誤解されそうな事をサラッと言ってのけた先輩に俺は苦笑いで小さく手を振った。
そんな先輩の姿を見ていると、大人っぽい時とそうでない時の変化がとても激しく感じてしまう。
アパート前まで見送ってくれた先輩が見えなくなるまで歩いた時、そんな先輩の純粋さに小さく微笑んだ。
小雨の帰り道、歩き辛かった道のりも今は軽く、家路をゆっくり歩いて帰る。
普段は通らない、でも見慣れた暗い道を小さな街灯が照らしている
小さな頼りない雨音が心地よく耳に響く。
雨の日の外出ほど鬱になるものは無いと思っていたけれども、普段にない小さな変化があることに感動を覚えられるから好きな人は雨が好きだったりするのだろう。
そんな三流の詩人っぽい事を思った自分に自嘲した。
でも、その気持ちを解ってやれる程ではない。
雨が好きな人は雨に濡れても平気で傘を差さずにいられるもの…は流石に言い過ぎだろうが、雨が好きな人と聞くとどうもその印象が強く出てしまう。
「いつも一人暮らしで暇だからまた遊びに来てね。」
と、他人が聞いたら間違いなく誤解されそうな事をサラッと言ってのけた先輩に俺は苦笑いで小さく手を振った。
そんな先輩の姿を見ていると、大人っぽい時とそうでない時の変化がとても激しく感じてしまう。
アパート前まで見送ってくれた先輩が見えなくなるまで歩いた時、そんな先輩の純粋さに小さく微笑んだ。
小雨の帰り道、歩き辛かった道のりも今は軽く、家路をゆっくり歩いて帰る。
普段は通らない、でも見慣れた暗い道を小さな街灯が照らしている
小さな頼りない雨音が心地よく耳に響く。
雨の日の外出ほど鬱になるものは無いと思っていたけれども、普段にない小さな変化があることに感動を覚えられるから好きな人は雨が好きだったりするのだろう。
そんな三流の詩人っぽい事を思った自分に自嘲した。
でも、その気持ちを解ってやれる程ではない。
雨が好きな人は雨に濡れても平気で傘を差さずにいられるもの…は流石に言い過ぎだろうが、雨が好きな人と聞くとどうもその印象が強く出てしまう。