Cold Phantom [前編]
「私は、あの子には幸せになって欲しいと思っているんですよ。あの子は、生涯孤独の身ですから。」
「あの子は…そう、あれだもんな。」
俺はその後の言いにくい単語を渋った、が…看護師はそこに言葉を返した。
「言って良いですよ。」
「良いのか?お前の嫌いな言葉だろ。」
「その言葉以外に表現し辛いと思いますし…」
俺はそれを聞いて、少し間を置いてその単語を言った
「コールドファントム…だもんな。」
「ですね…」
俺が言った一言でその場の空気が重くなった。
「冷たい幽霊か…不謹慎だけど、これ以上にないくらい的を得ている言葉は無いから憎いな。」
「頑張って生きているのに幽霊扱い…差別用語として認められても、私の中では認めたくない用語ですよ。」
「…」
そして、俺達は黙ってしまった。
謎の多すぎる症状だけに治してあげたい気持ちは一緒のようだった。
でも、手の打ち様のないのが現状。
それがもどかしいのもまた同じだった。
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