Cold Phantom [前編]
と、マスターはさも当たり前の様に言ってのけた。
「だってそんな大荷物、祥子ちゃんみたいな華奢な子に持ち上がると思ってる?」
「うぅ、確かに…」
「でしょ、それだったら男の子相手にチョークスリーパーとかブラジリアンハイキックとかアルゼンチンバックブリーカーとか極められる美咲の方がよっぽど…」
「無い無い無い無い絶対無い、ってかあり得ない。」
「そんな事言って、以前またチョークスリーパー極めたんでしょ。あの男の子に。」
「ぐっ、何でそれを…って祥子っ!」
言って私に振り向くみーちゃん。
どうやら私を疑ったようだ。でも…
「私じゃないよ。」
私はそう返した。
「本人から聞いたんだよ、あの男の子…誰だっけ?」
「湯川君ですか?」
「そうそう、その子。美咲達がシフトに入って無い時にやって来てね。その話をしてくれたよ。流石は美咲だなって思った。」
「流石って、そこで感心されても嬉しくないって!」
そうみーちゃんは言い放ち私達はその反応に笑みを溢した。
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