Cold Phantom [前編]
不自然とは言わないまでも、何だかちょっと落ち着かない。
私の顔に何かついてるんだろうか…。
コーヒーを淹れ終え振り返ると、その人は予想通り私に視線を向けていた。
何だか変な感じだった。
その時。
「オーダー入ります。えっと、ダッチコーヒー?を一つです。」
と里村君が私に言ってくる。
聞きなれない言葉に少し少々自信無さげだ。
「ダッチね、ちょっと待ってて。」
そう告げて私はコーヒーメーカーの器具達が集まる場所の端っこに申し訳程度に置かれた小さな器具まで向かった。
良く顔を合わせてる器具の中で、淹れる事すら稀なコーヒーのオーダーだった。
(ダッチなんて珍しいかも。)
私は数ヶ月振りに淹れたコーヒーを見ながらふと思った。
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