Cold Phantom [前編]
「ありがとうございました。」
私は落ち着いた店内を背中に帰っていくお客さん全員に挨拶をした。
一人を除いては…。
「紗冬美先輩じゃないッスか。」
と、店奥からヒロ君が現れ、突然の来客に驚いていた。
「あ、猿川君。美咲の言った通りなのね。」
紗冬美の方はヒロ君がアルバイトしていると聞いてやって来たようだ。
「厨房から出てきたって事は、マスターに扱かれてたみたいね。」
紗冬美がそう言うと、続く様に店奥からマスターが現れた。
「扱かれたってのは聞き捨てならないな紗冬美ちゃん。私がそんなに鬼に見えたって?」
「そこまでは思ってないですよ。」
「本当に?」
「そもそも鬼とも言ってませんし。」
紗冬美はそう言ってマスターの近くのカウンター席までやって来た。
そして、何故かヒロ君に顔を向けた。
「猿川君、今日の仕事中フライパンを1秒でも触らない時があった?」
「無かったッスね。」
ヒロ君は即答できっぱりとそう言った。
あんまり即答過ぎたので、ある意味紗冬美の言いたい事が良く分かった気がした。
私は落ち着いた店内を背中に帰っていくお客さん全員に挨拶をした。
一人を除いては…。
「紗冬美先輩じゃないッスか。」
と、店奥からヒロ君が現れ、突然の来客に驚いていた。
「あ、猿川君。美咲の言った通りなのね。」
紗冬美の方はヒロ君がアルバイトしていると聞いてやって来たようだ。
「厨房から出てきたって事は、マスターに扱かれてたみたいね。」
紗冬美がそう言うと、続く様に店奥からマスターが現れた。
「扱かれたってのは聞き捨てならないな紗冬美ちゃん。私がそんなに鬼に見えたって?」
「そこまでは思ってないですよ。」
「本当に?」
「そもそも鬼とも言ってませんし。」
紗冬美はそう言ってマスターの近くのカウンター席までやって来た。
そして、何故かヒロ君に顔を向けた。
「猿川君、今日の仕事中フライパンを1秒でも触らない時があった?」
「無かったッスね。」
ヒロ君は即答できっぱりとそう言った。
あんまり即答過ぎたので、ある意味紗冬美の言いたい事が良く分かった気がした。