Cold Phantom [前編]
手入れは良く行き届いていて、散歩するには打ってつけだ。
中庭の大半は基本的に池があり池には鯉が泳いでいた。
その池を一本の道でバッサリ分けられ、更に真ん中には小さな噴水まである。
後はフェンスの向こうに森林が広がっている。
その森林の景色もまたこの場所から見ると壮観だった。
病院の中庭にしてはこれでもかと言わんばかりに豪勢だ。
「怯える様な物は何もないですね。」
「うん、だから原因が解らないんだ。本人もその場で倒れてしまったし、発狂した事も覚えてないみたいだし。謎のままだけど、ただ言えることは…」
「この中庭の何かが怖かった…って事ですね。」
「しか、無いよな。」
言いながら先生はその場を離れて先ほどのベンチに座った。
私もそれに続く様にベンチに腰を掛けた。
「俺はもしかしたら大量の水を見て怖がっていたんじゃないかって思うんだ。」
「どうしてですか?」
「水は、身近にある物の中では一番トラウマになりやすい物なんだ。子供の頃に川に流されたとか、深い海で溺れかかったとかね。」
中庭の大半は基本的に池があり池には鯉が泳いでいた。
その池を一本の道でバッサリ分けられ、更に真ん中には小さな噴水まである。
後はフェンスの向こうに森林が広がっている。
その森林の景色もまたこの場所から見ると壮観だった。
病院の中庭にしてはこれでもかと言わんばかりに豪勢だ。
「怯える様な物は何もないですね。」
「うん、だから原因が解らないんだ。本人もその場で倒れてしまったし、発狂した事も覚えてないみたいだし。謎のままだけど、ただ言えることは…」
「この中庭の何かが怖かった…って事ですね。」
「しか、無いよな。」
言いながら先生はその場を離れて先ほどのベンチに座った。
私もそれに続く様にベンチに腰を掛けた。
「俺はもしかしたら大量の水を見て怖がっていたんじゃないかって思うんだ。」
「どうしてですか?」
「水は、身近にある物の中では一番トラウマになりやすい物なんだ。子供の頃に川に流されたとか、深い海で溺れかかったとかね。」