Cold Phantom [前編]
私はそこまで言い終えて、ヒロを見た。
ヒロは複雑な表情を向けていた。
無理もない。
私でさえよくそんな状態の祥子と今まで付き合えたなと自分自身で思うくらいだ。
知り合ってまだ2ヶ月ちょっとのヒロには荷が重いのは明らかだ。
今更後悔の念に苛まれた。
何でこんなにも早くこの話をしたんだろう…
気ばかり焦って私は祥子に悪い事をした様な気がした。
でも…
「俺は、それでも構わないッスよ。」
「!?」
その後悔は杞憂に終わった。
「ヒロ、良いの?」
「構わないッスよ、俺も祥子先輩の気持ちは解るッスから…」
「え?」
「あ、いや…ただ場所を選ぶ事と、緊急時は電話して欲しいって事ッスね。」
「う、うん。まぁ、それだけ踏まえてくれたら良いんだけど…」
私は話ながら次の言葉を考えていた。
まさかの返答に頭の中があたふたしていた。
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