Cold Phantom [前編]
目立つのは好きだがそこに笑いのない目立ち方は嫌いだ。それに関しても好きだと言える人物がいるなら見てみたいと言ってしまえばおしまいだが…。
とりあえず自分の席を探す。誰も座っていない席には少し分厚い白い封筒が置かれているその封に名前が書かれているのを一つ一つ確かめているとそれはあった。
(おっ、ラッキー♪一番後ろじゃないか。)
と、ちょっぴり幸せになる。俺みたいな勉強が面倒だと思っている人間にしてみれば机の位置取りは最重要のチェック項目だ。
窓側じゃないのが多少残念。名前的には仕方のない位置取りかも知れないが、一番後ろの位置はやはり高得点だ。まさに文句のつけようがない。
ちょっと文句は言ってしまったが…この際気にしない事にした。
とりあえず座る。
落ち着かない。
やはり誰も会話に興じない教室は違和感がありすぎて疲れる。
「よぉ♪お前が俺の後ろ何だな。」
…例外もいるようだ。何だか少々馴れ馴れしい気がしたが付き合い易そうな奴が俺の席の前に居てくれて嬉しいと思った…。
「あぁ、俺は猿川、気安く猿って呼んで…」
「知ってる。」
「えっ?」
その一言がさっきまでの違和感の謎を解き明かすに足る一言になろうとは思わなかった。
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