Cold Phantom [前編]
「ピ、ピザ!?何か凄いお弁当だね。」
驚く祥子先輩を見ながら、俺は先輩に言った。
「勿論丸ごとじゃなく一口サイズに細切れにしたッス。それにピザだけは出来合いッスよ。」
「ピザだけって…もしかしてその他は手作りって事?」
「えへへ、実はそうなんッスよ♪」
と少しだけ得意気に胸を張ると、先輩達も冗談混じりだけど拍手してくれた。
「それにしても、ヒロ君がこんなに料理が上手いなんて知らなかったなぁ。」
祥子先輩はそう感心した。
「でも何だか洋風だな、和風の「わ」の字も感じられない。猿的には狙ってたとか?」
湯川先輩は鋭い疑問を投げ掛けてきた。
俺は言葉を返した。
「最近バイトの喫茶店で調理スタッフとしてしごかれてるッスから、いつの間にか洋風の物ならある程度作れる様になったッス。本当はナポリタンが得意なんッスけど…。」
「お弁当にナポリタン…。」
祥子先輩が一言だけそう言って軽く考え込んだ。
そしてその直ぐ後…
「食べ辛いね…。」
と返してきた。
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