Cold Phantom [前編]
「って、ちょっ!おまっ!…」
「ん?どした?」
相手は不思議そうに首をかしげた。こいつは本当に疑問に思っている様だが、俺にはその疑問に対して疑問に思った。
何せそいつは…
「里村…お前が何で槍蔵北にいるんだよ?」先程まで居るとは思ってもいなかった里村本人だったからだ。
先程までの違和感、それは名前順に書かれていたクラス名簿の自分の名前の上の人の名前だったのだ。
里村と言う人物はここにはいない事前提でしかも自分の名前以外には興味など持つはずがない。名前なんてクラスに馴染みはじめてから覚える物だ。仕方ないと言えば仕方ない。しかしながら気付かない自分も自分だと思ったのもあった。
「あれ?そう言う反応が来るって事は…もしかしてお前知らなかったのか?」
「知ってる分けない無いだろ、お前から何一つ連絡も無かったし。」
「…あっ。」
彼は思いついた様な苦笑いで照れ臭そうに頭をかいた。
「そう言えばそうだったな、猿とたけに連絡しわすれてた。」
「うむ。」
「他府県の学校落ちちゃってさぁ、やむ無くここに通う事になったんだよ。流石に有名な進学校はレベル高いな。」
「へぇ、お前でも落ちることってあるんだな。」
< 27 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop