Cold Phantom [前編]
いや、本当は何気ない祥子先輩のいつものセリフなのに、俺にはそれが暢気に思えてしまうくらい余裕が無かった。
(先輩と二人きり…)
それだけが頭の中をぐるぐる回ってしまっている。
ある程度の覚悟はしてはいたが…。
「それじゃ、私はもう一回ライドオン・ウォーターに…」
「おいおい、またそれかよ。これで3回目だろ。」
「面白かったから良いの、ほらふーみん、ぱっぱと行動!」
「へいへい…」
俺の心情を知ってか知らずか、みーちゃん先輩はその場を離れるかの様に湯川先輩を引きずった…もとい、連れ出した。
まるでこの状況を狙ったかの様に…
俺は祥子先輩を見た。
「…。」
先輩はまた複雑な表情を見せていた。
先輩らしからぬ少しだけ険しい表情だった。
(??)
俺にはその表情の意味が判らなかった。
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