Cold Phantom [前編]
それからしばらくして、先輩は足を止めた。
「あっ!」
と先輩はパッと笑顔になり、そして何故かしゃがみこんだ。
俺にはその一連の行動にまたもや理解に苦しむが、先輩は気にせず商品棚の下、ダンボール箱一個分は入りそうな隙間に手を伸ばし目的の物を引きずりだした。
そして俺も先輩が引きずりだした物を見た。
「…えっ?」
っと、それは思わず言ってしまう代物が現れた。
【Sale】のシールを貼られたダンボール箱いっぱいに詰められた残骸のようなおもちゃの山だった。
…売り物に残骸は失礼か。
でもそれ以上の言葉が見つからなかった。
目立たない所にひっそりと置かれた代物だけあり、その山積みになった残骸はかなりの色物が含まれていた。
テーマパークのマスコットなのかも知れないが単にも「可愛い」と言える代物では無かった。
その中でも一際不細工なかぼちゃのキーホルダー(ハロウィン用なのか、ジャックオゥランタンの様な表情をしている)を先輩は手に取った。
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