Cold Phantom [前編]
「そこまで万能じゃないよ。人間落ちる時は落ちるもんだよ。」
「なるほど…じゃなくてだ。」
思わず話が終わってしまいそうだった。
聞きたい事から話がずれかかっていた。
とりあえず話を戻す。
「俺が言いたいのは、他の高校に受験したお前が何で関係のない槍蔵北にいるのか?って事だよ。」
「…あぁ、猿はそこから知らなかったんだな。聞いてこないからてっきり知ってる物かと思ってたよ。」
「?」
里村は落ち着き払った態度で一息吐くと里村は一言こう言った。
「中2の時に受けた滑り止めの高校ってのがここだったりするんだけど…知らなかったん様だな。」
「えっ!?そう、なのか?」
知らなかった。俺にとって驚くべき新事実だった。まさかそんな事になっているとは…
里村がそう言っている以上は嘘をついているとは思えなかった。
でも、少しずつ落ち着いてくるとそれ以上に嬉しくなってくる自分がいた。もう会えないと思っていた奴にまた会えたのだから。
「まったく、また会えるとは思わなかったぜ。しかもこんな短期間にな。」
「俺は会える気がしてたよ。」
「え?」
思わず自分と同じ返答が返ってくると思っていたのに、里村からは意外な返答が返ってきた。
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