Cold Phantom [前編]
「試験の問題用紙を見た瞬間にな、すぐにこっちに戻る事になるだろうなと気付かされたよ。」
「ぷっ…何だよそれ~」
里村のそんな一言に俺は思わず笑った。
余程高レベルな高校を受けたようだ。
「それにしても…」
不意に里村は落ち着いた態度でコチラに向き直った。ニヤニヤと顔を綻ばせながら彼は言葉を続けた。
「受かったんだな、この高校を…」
そう言いながら、里村は更に顔を綻ばせる。その笑顔に俺は何故だか驚いてしまった。
里村の笑顔は勿論今までも見てきたが、何かを吹っ切った様な、何処と無く今までよりも明るい笑顔にも見えた。
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