Cold Phantom [前編]
「まさか祥子に見破られるとはねぇ、私も落ちたかな。」
「みーちゃん、それどう言う意味?」
祥子先輩が少し表情を強ばらせる。
それをみーちゃん先輩は笑っていた。
「でも、どうにかなったみたいね。表情が緩やかだし。」
そう言って俺たちの表情を伺った。
「上々ッスよ。これ以上に無いってくらいに。」
「そっか、それは良かった。頑張った甲斐があったね。」
みーちゃん先輩はそう言って俺を誉めた。
何だかむず痒いような気持ちにはなったが、悪い気はしなかった。
「それじゃ、もう遅いし帰ろっか。」
「うん…って、湯川君は?」
「ふーみんなら適当に歩いてたらすぐ見つかるんじゃない?」
と、みーちゃん先輩が適当な事を言ったその時だった。
「あのなぁあおむらさき、俺をボウフラか何かと間違えてるんじゃないのか?」
湯川先輩は本当に現れた。
「本当に現れたんだからボウフラとそんなに違わないんじゃないの?」
みーちゃん先輩も無茶苦茶な事を言っていた。
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