Cold Phantom [前編]
「いえ、構いませんよ。」
俺はとりあえず無難に返しておいた。
「こちら槍倉総合市役所の者ですが、少々お時間よろしいでしょうか?」
「市役所?」
それはまた意外な所からの電話だった。
「はい、以前に調査依頼をされた件でお話が…。」
調査依頼…
俺はその言葉にふとあることを思い出した。
「もしかして、祥子ちゃんの件でのお話ですか?」
そう、5年前に祥子ちゃんの身元確認の為に依頼した件を思い出した。
「はい、その事で少しお時間を頂ければと思いまして…」
返事も案の定と言った物だった。
「お仕事中なのは存じてますが、こちらのお電話番号しか解らなかった物で…。」
「いえ、少しだけであれば時間も取れますので。」
「そうですか。それでお話と言うのはですね、その方と同じ名前で身元が確認されたのですが…。」
「えっ、今になってですか?」
俺はその言葉に突っ込まざるを得なかった。
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