Cold Phantom [前編]
何だろう、私はその声に聞き覚えはなかった。
聞き覚えは無い筈なのに、私は何故かその声に違和感を感じた。

「違和感?」
「えっ?」
また突然の声が聞こえた。
今度ははっきりと、そして聞き慣れた声だ。
声の主をみーちゃんだと把握した時、私ははっと現実に戻った。
「あ…えっと、私何か言ったかな?」
「言ったかな?って…大丈夫、祥子?」
みーちゃんが心配な眼差しで見つめる
心配されるほど私ははっきり場違いな何かを言ったようだ。
「大丈夫、だと思う。」
「大丈夫じゃないって事だね。」
「え?」
「祥子の(だと思う)は違うって事だよ。長い付き合いだから解るってもんよ。」
みーちゃんはそう私に言った。
そしてその言葉に間違いは無かった。
いきなり現れた現実にも非現実にもとれる出来事があれば、流石に頭が全てを理解するのに時間がかかった。
いや、そもそも答えなんてあるのだろうか、また混乱が始まった。
そんな姿を見て、みーちゃんはうーんと小さな唸りを上げて、たけ君達に向き帰り…
「ごめんね。何だかこの子調子悪いみたいだから、もう少し話したかったけどここら辺でおいとまするね。」
とたけ君達に一言言って私たちは校門を後にした。
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