Cold Phantom [前編]
※
そんな時だった。
玄関で物音がして、人の気配を感じたのは。
こんな時間に家に入ってくるのは一人しかいない。
時々だが…。
気にせずに朝飯を食べていると、程なくしてその例の人物が入ってきた。
「よぉ、ヒロ。」
「よぉ、親父。」
軽い挨拶を同じ挨拶で返した。いつも通りだ。
「やっぱ親父だったか…。」
「俺以外の誰がいるってんだよ。それより良いもん食ってんな。俺の分とかあるか?」
「そこに余りがあるから適当に見繕ってくれ。」
と余り物に指を指すと、親父は「ほいほい」と言いながら適当に見繕った。
「飯食って来てないのかよ。」
「長距離ドライバーなんて仕事をしてたら、飯も厳かになるもんなんだよ。」
言いながら余り物を全部詰め込んだ朝飯をハイエナの如く食らついた。
余程長時間何も食っていなかったようだ。
この親父の名前は猿川銅郷(さるかわとうごう)
大型トラックでの長距離運搬の仕事をしていて、その仕事内容から帰ってくる日もマチマチだった。とは言え帰ってくる時間は朝早くと夕方、そして深夜の3つだったりで、この時間に帰ってくると言う事はつまりずっと運転しっぱなしの寝ずの仕事だったようだ。
そんな時だった。
玄関で物音がして、人の気配を感じたのは。
こんな時間に家に入ってくるのは一人しかいない。
時々だが…。
気にせずに朝飯を食べていると、程なくしてその例の人物が入ってきた。
「よぉ、ヒロ。」
「よぉ、親父。」
軽い挨拶を同じ挨拶で返した。いつも通りだ。
「やっぱ親父だったか…。」
「俺以外の誰がいるってんだよ。それより良いもん食ってんな。俺の分とかあるか?」
「そこに余りがあるから適当に見繕ってくれ。」
と余り物に指を指すと、親父は「ほいほい」と言いながら適当に見繕った。
「飯食って来てないのかよ。」
「長距離ドライバーなんて仕事をしてたら、飯も厳かになるもんなんだよ。」
言いながら余り物を全部詰め込んだ朝飯をハイエナの如く食らついた。
余程長時間何も食っていなかったようだ。
この親父の名前は猿川銅郷(さるかわとうごう)
大型トラックでの長距離運搬の仕事をしていて、その仕事内容から帰ってくる日もマチマチだった。とは言え帰ってくる時間は朝早くと夕方、そして深夜の3つだったりで、この時間に帰ってくると言う事はつまりずっと運転しっぱなしの寝ずの仕事だったようだ。