Cold Phantom [前編]
今日は部活が休みで良かった。そうでなければとても身の入る練習にならなかっただろう。
俺はショックで言葉を失っていた。この地域の大半の生徒が入学するあの高校で部活の一つが廃部に陥るとは想像すら出来なかったからだ。
しかもよりにもよって吹奏楽部と言う王道の部活がだ…
「マジかよ…」
下足室に向かうまでの間に3回同じセリフを言っていた。その間僅か2分。
久しぶりにため息も多めに出た気がする。

-俺としても猿にはこれからもその道にのめり込んで欲しいと思っているんだ。だから他の学校の資料も探ったんだ。とりあえず軽く読んでみて欲しい。俺もお前の演奏は買ってるんでな…-
と言いながら受け取ったパンフレットは3つ…その内2つは既に問題外な物だ。
(中卒からいきなり専門学校なんていう所もまだあるんだな…)
と、ある意味興味が沸いたが流石に高卒くらいは…と思っているのでパス。おまけに引越しする必要もあるくらいの距離があるので尚更、必然的にもう一つに移る事になる。これはちゃんとした高校で引っ越す必要もない距離だ…が。
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