Cold Phantom [前編]
俺の目に止まったもの…それは。
「北高の制服…」
それは、中学校から程近い場所にある高校、槍蔵北高校の制服を着た生徒達の姿だった。それを見た瞬間…
「そうか…これだ!」
俺は声を上げてそう言った。

翌日
「んで…お前の名案ってそれか?」
「おぅよ!」
「おぅよ!じゃねぇよバカ!」
「元々バカだから仕方ない。」
「バカなら尚更出さない案だろう!」
たけは俺の案に否定的だった。
解らなくも無いが…
「そもそも名案でも無いだろそれ、愚かしいにも限度って物がある。あの北高に受けるとか無茶だ…」
そう、俺がたけに言って出した案とは、槍蔵北高校への入学だった。
たけが否定的になるのも無理はない。槍蔵北高は槍蔵市内でも名前の通ったレベルの高い公立の高校。中学校でも入る人の限られるレベルで俺達には正直無縁な所でしか無かった。
ただ…
「この近くにある吹奏楽部のある高校はあそこしかない。」
と言う理由だけで北高への入学を決めた。
これだけならまだ自分が痛いめに合うだけだぞと言われるのが関の山だが、そう言う訳にもいかない、たけもまた入学してくれと頼んだのだから否定的だったのだ。
「だからって…他の高校に行くとかまだあるだろ?」
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