Cold Phantom [前編]

何て言いながら、今日の一日に新発見と思える事はあまりない。
新発見とはまた違うが先輩との出会いは正直驚く事が多かった。
間違いなく今日一日の特大イベントだっただろう。
不思議な…そう、凄く不思議な先輩。
雰囲気は大人しそうなのにいざ話してみれば案外良く喋るし、おしとやかかなっと思ったらびっくりするような事も言うし…

-襲われた時は、襲われた時だよ…-

やはり、あの言葉が頭から離れない。
あんな事、普通言うだろうか。
「先輩は…いや…」
俺は一人、無意識に声に出してしまった。
言葉にするのは躊躇ってしまう。
まさか先輩は過去に襲われた事があるんじゃないか…なんて。
そんなことを思った俺は近くに先輩は居ないのに申し訳ない気分になってしまった。
人は見た目に寄らない…
「見た目よりも底抜けに度胸があるって事…でいいのか？」
…そんな言葉で片付けられる訳がない。
俺は少しその場で横になると無性に眠たくなってきた。
なんだろう、妙に体が重い気がした。
重力に従うかの様に体は休みを欲しがっていた。

疲れてるのか、俺…

そう思いながら大きなあくびをする。
純粋に俺は眠気を催していた。
そうしているうちに瞼が重く…