Cold Phantom [前編]
自室に戻るとすぐに制服をハンガーに掛けた。
その最中に不意に自分の携帯が床に落ちてしまった。
やってしまった…と思ったが拾いあげて何も変になっていない事を確かめた。
変化があったとすれば着信履歴に更新があったくらいだ。
とりあえず普段着に着替えてから携帯を調べると、相手はたけだったようだ。
「まぁ、そうだよな。」
俺は納得した面持ちで一息吐くと、たけに携帯をかけた。
程なくしてたけが出た。
「ようやく電話してきたな。着信履歴も見ないで今日一日はかけてこないかと思ってたんだけどな。」
「あぁ、悪い。家に着いてすぐに爆睡モード入ってたから気付かなかった。」
「気付かなかったって…お前、本当に調子悪かったんだな。携帯が鳴ってるのに気づかないなんて。」
「だから言ったろ、爆睡だって。」
とまぁ、それで納得しろと言うのは少し無理のある話だった。
何故なら…
「お前の携帯の呼び鈴は【In the mood】だろ?あんな派手なイントロの音楽で起きないってのが不思議だったりするんだよな。」
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