letter
始まりの手紙
春まだ肌寒い風の中、襟元から入る風を防ぎながら、足早に家路へと急ぐ。
吐く息は白く、モヤモヤと濃紺の空へと滲む。
途中、スーパーに寄り洗濯用洗剤とチョコレートを買い、家へと急ぐ。
携帯を開くと、時間は21時を過ぎていた。
人通りはあるが、みな寒さの為か、若干足早になっている。
スーパーから5分ほどで家に着く。
レターボックスの中から郵便物を掴み、部屋番号を入れ、自動ドアの隙間に体をねじ込むように入ると、エレベーターに飛び乗り、ゆっくりと進む数字を眺めた。
5Fの文字が点滅し扉が開くと、歩きながらジャケットのポケットから鍵を取り出し、自宅の扉を開けた。
エアコンを付け、郵便物をテーブルに投げ出し、ドカリとソファーに体を沈める。
TVを点けると、大きな笑い声が流れてきた。