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「陽向(ひなた)おはよぅ。」
ロッカールームで着替える陽向に、同僚であり友人である一颯(いぶき)が、声を掛ける。
「おはよぅ。一颯、眠そうやな。」
隣りのロッカーを開け、ジャケットを押し込み制服を取り出した一颯に、陽向は黒のサロンを巻ながら言った。
「昨日、兄ちゃんが帰って来とって、遅くまで話しとったからなぁ~。」
「そうなんや。」
「それより、新しい家はどうなん?1週間経つもんなぁ~。」
「引っ越しの際は、お世話になりました。」
棒読みの言葉と一緒に、頭を深々と下げる。
「気持ち籠もってないやん。」
あははっと笑いながら、一颯はサロンを巻く。
「あはっ。バレた。お礼に、ご飯ご馳走するわ。夜、どっか行かへん?」
「おっ!!マジで?!行く、行く。せやったら、夜泊めてや。明日、休みやろ?」
「おん。えぇよ。」
「決まりやね。あっ!!あかんっ!あと10分やん。行かんと、怒られるやん。」
「ほんまや。行こっ!!」
2人は、ロッカーの鍵を閉めると、足早に部屋を出た。