【奏】春に降る雪
視界から桜吹雪も消えて、目に映るのは、ハルの胸元。





ハルに抱きしめられてるんだって気付くまで、数十秒はかかった。








『茜が好きなんだ。これからも俺の側にいて欲しい』






「うそ…」




『嘘じゃねーよ』




だって




「瞳子先輩は?」





花見の後に告白するって言ってたよね?





『瞳子さんは、憧れだったみたいだ。気付かない俺って、鈍いなって自分で呆れた。

場所取りの日茜がいなくなってから、茜の事ばかり考えてた。

最初は喧嘩してイライラしてるだけなんだって思ってたけど、

3日前の茜の言葉で、表情で、…やっとわかったんだ』




「ーッ。ハ…ル…うぅ」




本当に?




夢とかじゃない?





泣きながらしがみついた私をもっと強く抱きしめてくれる。





その力強さが夢じゃないって教えてくれた。






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