【奏】春に降る雪
ハルを好きになってからの私は、自分でも呆れちゃうくらい恋する女の子だった。




真剣に仕事している姿にときめいて、たまに眠たそうにしている姿にキュンとする。




明るくて一見お調子者のように見えるけど、実は周りにとても気を遣える一面もある。

わざとそう見せて相手を元気にさせようとしてるんだなって思える事がいくつもあった。




ハルを意識してから知ってしまったいろんな表情や、人柄。




ものすごいスピードで惹かれていくのがわかった。




とにかくいつも目で追っていて、だから気付いてしまったハルの気持ち。





瞳子先輩と話している時のハルの笑顔が、私や他の人たちに向けるそれとは違うものだって。




ハルが瞳子先輩に向ける笑顔が……

去年桜を見上げていた時に見せていた、

愛しいものに向けられる柔らかい笑顔だって、


……気付いちゃったんだ。



気付いてしまったからには確認しなくちゃ気が済まなくて。




ある日、社員全員が残業決定のある日、全員分の夜食をハルと二人で買いに行かされた時、思いきって聞いてみた。




「瞳子先輩が好きなの?」って。




ハルは何で知られたのかって驚いた。
だけど真っ赤な顔で私に『入社してからずっと気になっている』とはっきりと言ったんだ。




…はっきりと聞かなきゃ良かったって後悔した。



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