続・俺の恋愛【BL】
とにもかくにも、背後から聞こえた俺の名前を呼んだ女の声。
このまま現実逃避をしていたい。
俺の耳には何も聞こえなかったのだと。
しかし無情にも声の主は俺の真後ろまで迫ってきていた。
「悠斗っ!呼んでるのにどうして無視するのよ」
あぁ、やっぱりこの声は俺のよく知っていた声だ。
今ではもう聞くこともないと思っていたはずなのに。
「ちょっと悠斗?聞いてるの?」
固まったまま振り返ろうとしない俺に、以前と変わらない明るい声が降ってくる。
特に気分を害した様子のない声は懐かしい音色を奏でている。
「…どうして、おまえがここにいるんだ」
「あっ、なにそれ~そんな冷たい言い方しなくてもいいじゃない。せっかく会いに来たのにぃ」
振り返らずに、低めの声で問うと、ぱっと俺の目の前に立って拗ねたような口調でそう告げる彼女の名は有城祥子。
俺の元、彼女。ということになる。