続・俺の恋愛【BL】


「どうして俺が帰るんだ。いい加減にしろよ、祥子」
「…やっと名前で呼んでくれたね」

薄く微笑んだ祥子。
俺はしまったと思いながらも、顔には出さずに祥子を見据えた。

「…帰れ」
「嫌だって言ったじゃない。聖治が目を覚まして私と一緒に帰ってくれるないいけど」

そう言いながらリビングへと足を進める。
帰る気はないらしい。

「目を覚ますってなんだよ…」
「伊坂聖治とのことよ」

後を追ってリビングに行くと俺に背を向けたまま、祥子は押し殺したような声で呟いた。

「そのことなら…目はとっくに覚めてる」
「そんなわけないっ。一時の気の迷いに過ぎないわよ」

勢いよく振り返りながらそう言った祥子に、不快感が募る。

「……だとしてもほっといてくれ。…もういいだろ。帰れよ」

俺は引き摺ってでも、追い出してやろうと祥子の腕を取った。

「嫌よっ!!」

叫んだ祥子は、掴まれた腕をぐっと後ろに引いた。
振り払うのかと思った俺は、その手の力を強め、祥子を睨み付けた、その瞬間。
祥子が俺にキスをした。

「っ…!」

キスと呼ぶには乱暴で、ぶつかったと言った方が正しいかもしれないが。

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