続・俺の恋愛【BL】
終息の痛みと安らぎ
数日後の午後。
俺は祥子の住むアパートを訪れていた。
インターフォンを鳴らすと、中から『はい』と返事が返ってきた。
「あ~俺。悠斗だけど」
『…帰ってっ。もう話すことなんてないっ』
名前を告げると、間を置いて聞こえてきた祥子の硬い声。
「…この前、おまえが聖治のマンションに来た時、ピアスを落としたんじゃないか?部屋に落ちてたんだけど」
ソファの足元に落ちていた、小さくて真っ赤な石のピアス。
多分、祥子の誕生石。名前は覚えてない。
『……いらないっ。捨ててくれていいから帰って』
「…いいのか?」
ドア越しに聞こえる祥子のくぐもった声は硬さを保ったままで。
『いらないって言ってるでしょっ!?早く帰ってよっ。声も聞きたくない』
「…今度は声も聞きたくないなんて、ずいぶんだな」
『…当たり前じゃないっ。男同士でなんてっ…どうかしてるっ!!』
「……そうか」
『そんなわけないって思ってたのにっ!悠斗は一時の気の迷いなんだって…だから絶対、あの人となんて…悠斗は女が…こんなことありえない』
支離滅裂に言葉を発する祥子。
それでも言いたい事はわかった。
それよりもなんとなく今、引っ掛かったこと。