続・俺の恋愛【BL】


「…やっぱり俺、先に帰ってようか」
「いや、いい。すぐに終わるから」

少し不機嫌そうな祥子を気にしての聖治の言葉に俺はすぐに終わるからと勝手にそう言って聖治を引き止める。
そんな俺に祥子はどうしてと訴えかけるような視線を送ってきたものの、気付かないふりをしてやり過ごす。


「私と…もう一度付き合って欲しいの」

祥子は諦めたように口を開いた。
その言葉に俺の少し後ろに立っていた聖治が息を呑むのがわかった。
なんとなくそれを予想していた俺は動揺することなく祥子を見据えた。

「…悪いけど俺、好きな奴がいるから。それに俺をふった時に言ってた好きな奴はどうした?」

祥子と別れてから実はまだ半年も経っていない。
あの時、好きな人が出来たと言っていた祥子。
そんな短期間で俺のところに戻ってくるなんておかしいんじゃないかという俺の疑問。

「あれは…あれは本当に好きだったわけじゃないの!ただ、悠斗と会える時間が少なくなって…寂しくて…彼に逃げちゃった…それにそう言ったら悠斗が、引き止めてくれるんじゃないかって…」

だんだん尻つぼみになっていく祥子の言葉を内心驚きながら聞いていた。
祥子がそんな気持ちで俺に別れ話をしていたなんて。
あの時の傷ついたような顔は、そういうことだったんだろうか。

だからと言って、今の俺に何が出来る?
もう一度祥子と付き合うなんて到底考えられないんだ。


< 9 / 57 >

この作品をシェア

pagetop