翼を失った蝶~そして全てを失う~
リランと椿が帰ってから、あたしは教室の窓からまた花壇のちょうちょを眺めていた。



『ちょうちょは自由でいいね』



『あんたもあたしたちとおんなじちょうちょになりたいんですか?』



『うん・・・あたしも蝶なのに・・・自由じゃない・・・』



『自由になりたいためにちょうちょになりたいんですか?』



『うん・・・きれいな色したかわいらしいあなたたちになりたい・・・』




『そうなんだ・・・でもね、知っておいて。あたしたちちょうちょは
 

 みんなあなたたち人間になりたいの・・・』



『どうして?人間なんかよりもずっとちょうちょのほうが・・・』




『人間って、虫をイジメてもなんとも思わないでしょ?
 

 あたしたちは痛いのに・・・知ろうともしないで・・・


 だから人間になって、あたしが人間をいじめるの・・・』




『いじめる??』


『そう。思い知らせてやるの・・・』




『でもあなたが人間になったらちょうちょだなんてわからないよ・・・??』



『いいの・・・だって、人が人をいじめてるのをみて、あたしもいじめをしてみたくなったんだもの・・・』


ちょうちょが、変なこといってる・・・




「ほしづき!!今は授業中だぞ??先生の授業はそんなにつまらないのかっっ!!??」


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