朱鷺
こうの自由だしね。ただ、いつまでも私はごめんね、ごめんね、なんて言いたくないからさ。嫌なら別れたらぁ~だもん。
それに、浮気できちゃうってことは、どっか飽きてるっていうのか、ときめきはなくなっている証拠に思える。浮気の後はそのうち別れちゃうしね」
「浮気するのは、心が離れているのかな?」
「そうとも言えると思うわよ」
「俺・・・真理から離れているのかな?」
「朱鷺さん自分が一番わかってんじゃないの。私から見てて、あなた真理さんといてもあまり楽しそうじゃないよね」
「・・・・楽しそうじゃないか・・・・」
「でも、言っとくけどさ。その薫さんとつきあったら、もっと悩みそうだね。あなたがふりまわされて、疲れ果てるのが話し聞いただけでも見えるよ、覚悟してつきあいなさいね」朱鷺は、由美子の目を見て、にやにやするとゆるゆると首を振った。
「つきあえないよ、それはわかってる。どーせもう会わないよ。いつも自分の都合だけでしか言ってこないもん。今回2年ぶりだけど。以前も俺から何回かメールしたけど返事もこなかったもん」
「でも、もう会わないなら、なおのことしちゃえばよかったね~~」
「あーーーーーそうなんだよ、だから悔しいんだよーーー!」
由美子は頭をかきむしる朱鷺を小さい男の子を見るように、目を細めていた。いいなぁ、青春だなぁ、とほほえましくさえ思った。でも、その上に・・・この間から思っているけど・・・・真理さんとはそのうち終わるなぁ・・・・うまく何事もなく終わればいいけど・・・・恋愛は他人事と思いつつも、彼女は朱鷺の身を心配していた。


 土曜の夜、朱鷺は真理の部屋にいた。
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