朱鷺
生活を薫は考えているのか・・・・?
 
 朱鷺は、弱々しくではあるけれど、真理との別れを決めた。泣き叫ばれそうだが、しかたがない。真理が死ぬの生きるの大騒ぎをしそうで怖かった。目の前で死ぬと騒がれて、振り切って別れられるか、自信がなかった。
 別れを決めた理由の一つには、行きつけのママに「別れるんなら、早くよ、朱鷺ちゃん。言いにくいからって、伸ばしてたら余計辛くなるものよ。相手のためにも早くよ。別れれば、別の人との出会いがあるわけなんだから」と言われたからだった。

 
 朱鷺は、真理にメールした。『会いたい』と。

 朱鷺は外で会いたがったが、真理がどうしても部屋に来てくれと言い張った。それならまた今度にしようと、朱鷺が逃げ腰になった時。真理が言った。・・・聞き間違いでなければ『・・・最後でいいから・・・』と言った。泣き声だった。


 部屋に行くと、おにぎりと味噌汁と卵焼きが並んでいた。
「食べる?食事してきてないんでしょう」
「ああ、食べてきたけど・・・」
 朱鷺は涙が出そうになった。
 真理になんといって、別れを切り出すか、あんなに言葉を探していたのに、全部吹っ飛んでしまった。もう、知ってる、真理は知っている。今さら何を言えばいいんだ。どうせなら、責めてくれ、と願うのに、真理は朱鷺を責めなかった。
 逆に真理は、あやまった。
「・・・ごめんね・・・重かったでしょう、朱鷺君の気持ち考えずに好きって気持ち押しつけ過ぎたよ
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