朱鷺
なぜか、読まれた。朱鷺はいたずらっこのように、舌をチロリと出した。
「あたしに言わせりゃ、男が小さいのよ。女なんてこんなもんだって、固定観念が抜けなくて、自分の思い通りにならないだけで、安易に浮気を疑ってくるのよ」
唇をとがらせて由美子は言った。
「俺・・・・やっぱり・・女の部分があるのかな・・・」
瞳を曇らせ、朱鷺は自分の内面に目を落とす。
「やっぱり、ってどういう意味よ。アハハ。みんな両方持っているらしいよ。すると差詰めあたしは、頭の中は男だね」
「うん、由美ちゃんはその辺の男より男らしいよ」
「褒めてんの?」
「そうだよ、あはは」
恋愛感情が無いと、くったくなく話せる。それでも誰でもいいわけじゃない。要するに、気の合う人って男でも女でも想像以上にとても少ないもんなんだ、と25歳の朱鷺は自分にうなずいていた。
「由美ちゃんさあ、薫ってどういう奴だと思ってる?」
「あたし、ろくに顔も見たことないわよ」
「俺から聞くだけの想像でいいから」
由美子は、ゆっくり右の天井を見て、左の天井を見て、目を朱鷺に戻した。
「その人がっていうんじゃなくて、安易に手首なんか切る人はアブナイ」
「あぶない?」
「自分の言うことが通らなければ、すぐ脅迫する人に思える」
由美子は朱鷺にかからないように、斜めに煙りを吐き出す。
「そういうことが、この間も言ったけど、愛情に思えることがあるけど。そういう人は、自分が飽きれば迷いもせず、こっちを捨てる。冷たい人だと思う、それに・・・」
「それに?」
「自分でついた嘘が、本当に思えてくるタイプの人に
「あたしに言わせりゃ、男が小さいのよ。女なんてこんなもんだって、固定観念が抜けなくて、自分の思い通りにならないだけで、安易に浮気を疑ってくるのよ」
唇をとがらせて由美子は言った。
「俺・・・・やっぱり・・女の部分があるのかな・・・」
瞳を曇らせ、朱鷺は自分の内面に目を落とす。
「やっぱり、ってどういう意味よ。アハハ。みんな両方持っているらしいよ。すると差詰めあたしは、頭の中は男だね」
「うん、由美ちゃんはその辺の男より男らしいよ」
「褒めてんの?」
「そうだよ、あはは」
恋愛感情が無いと、くったくなく話せる。それでも誰でもいいわけじゃない。要するに、気の合う人って男でも女でも想像以上にとても少ないもんなんだ、と25歳の朱鷺は自分にうなずいていた。
「由美ちゃんさあ、薫ってどういう奴だと思ってる?」
「あたし、ろくに顔も見たことないわよ」
「俺から聞くだけの想像でいいから」
由美子は、ゆっくり右の天井を見て、左の天井を見て、目を朱鷺に戻した。
「その人がっていうんじゃなくて、安易に手首なんか切る人はアブナイ」
「あぶない?」
「自分の言うことが通らなければ、すぐ脅迫する人に思える」
由美子は朱鷺にかからないように、斜めに煙りを吐き出す。
「そういうことが、この間も言ったけど、愛情に思えることがあるけど。そういう人は、自分が飽きれば迷いもせず、こっちを捨てる。冷たい人だと思う、それに・・・」
「それに?」
「自分でついた嘘が、本当に思えてくるタイプの人に