「左手の約束」
そして、
陽菜が泣き止んだのを
見計らって車を走らせた。
暫くすると
ゆっくりゆっくりと、
陽菜が喋り出した。
『私の両親は共働きで
一人っ子の私は
いつも寂しかった。
でもね、
両親を気遣い甘えたい
気持ちを押さえ弱音を
吐けなかった。
もしかしたら
必要とされてないんだ
と思い不安で一杯だった』
俺は、
もらい泣きしそうに
なりながら黙って話に耳を
傾けた。
更に、陽菜の話は続いた。