『声が聞こえた』で始まるラブストーリー
「…あの~、緒方さん?」
急に名前を呼ばれ、肩が飛び上がる。
「え、は、はいっ」
「甘~い妄想に浸ってらっしゃるところ申し訳ないんだけど。
返事とか…今、聞ける?」
「へぇっ?」
ぶ。
思わず変な声が出てしまった。
全くお恥ずかしい…
何しろ、男の子に告白されるなんて今日が始めてなのだから。
ん。
ちょっと待って。
返事。返事…あ、そうだ。返事返事。
ええっと…
って、考える必要ないじゃん。
人生で二度とあるかもわからない両思いだよ、私!
第一告白すらされるかどうかわからないよ、私!
よっし。
「へ、返事は…」
安藤君の喉がゴクリと音を立てた。
「…あの…もちろんOK、です」
その瞬間…私が顔を赤らめて下を向いてしまうその前に、
安藤君は
「~っぃよっしゃぁ~!!!!」
教室の中を駆け回り始めた。
「ど、どうしたの~?勇士く~ん?」
「何やってんんだよ、勇士。」
みんなはそんな無邪気に喜ぶ彼を笑って見ていた。